
研究紹介
IgG4は”arm exchange”によって、異なるエピトープ認識のbispecific抗体(bsAbs)となる能力を有する。この点において、他のIgGクラス(G1, G2, G3)抗体と異なる。またマウスIgGクラスに、ヒトIgG4の特徴を備えた抗体クラスはなく、IgG4機能の詳細解析において、厳密にはマウスモデルが使えない。
当研究室は、本邦において疾患領域として定義された「IgG4関連疾患(IgG4-related disease :IgG4-RD)」としての自己免疫疾患における高値IgG4の病態関与を解明し、新たな治療法およびバイオマーカーを見出す目的にて、2020年に設立された。IgG4抗体は、認識する自己抗原および認識エピトープが機能発現部位の場合は病態発症・増悪に関与する”pathogenic IgG4”として作用すると考えられるが、逆に他クラスのpathogenic抗体を抑制する役割もあると考えられている。”Arm exchange”の特徴を備えることによって、ヒトのIgG4上昇を伴う疾患において、それらIgG4抗体の作用を簡潔に説明することが難しく未解明な領域として残されている。上記の通り、機能を有する自己抗原を認識しその機能発現部位・エピトープを認識するIgG4は”pathogenic”であろうし、アレルギー患者IgEの認識アレルゲンのエピトープを同様に認識するIgG4抗体はアレルギー反応を抑制する作用が期待される。
IgG4の病態関与を解明するためには、IgG4機能解析に既存の方法論が適応できないこともあり、患者IgG4が認識する自己抗原を同定する技術、認識エピトープのプロファイリング技術など必要な基盤技術を開発すること、またIgG4抗体特有の解析技術の開発も必要となる。これに取り組みIgG4免疫学の奥行きを広げ、IgG4免疫学に基盤を置いた治療法・治療薬、およびIgG4関連疾患の病態把握のためのバイオマーカーを新たに見出す。このような研究を行う。
TOPICS
- 2025年02月01日
令和7年2月より包括的IgG4関連免疫学講座(寄付講座)へ協力研究員1名を採用。
- 2024年06月01日
IgG4関連免疫学(包括的IgG4関連免疫学)講座のホームページを開設した。
- 2024年05月01日
研究室体制を更新し、特任教授、特任准教授、研究員の3名とした。
同時に、事務補佐員を大学HP等にて募集。- 2020年07月01日
金沢大学大学院 医薬保健学総合研究科に、包括的IgG4関連免疫学講座(寄付講座)を開設した。